例えば、「マクドナルドなんて不味い」って平気では言えないんだな、俺は。
ジャンクフード、添加物が、カロリーが。そういうことじゃなくて。
俺は恵まれた国の恵まれた家庭に生まれ恵まれた育ちをしただけだ。
中学生の頃、戦場ジャーナリストの写真を見て気づいた。俺が幸せなのはたまたまだって。
マクドナルドを食えない人間は世界に山ほどいる。
栄養が偏って体に悪いジャンクフードを食うことができずに飢える人間が。
だからって俺は自分の欲望を肯定する。
置かれてる立場に関わらず人は欲望を持つ。
希望と言い換えても構わない。
でもよせめて品を失いたくない。
自分と世界への抵抗だ。
パンクロック。行き着く先は、自分。
クソッタレだけど優しいんだよ。
品を失うな。
だから旅をする。
愛するためにだ。
品は、愛から生まれる。
俺はインドに生まれなかったからインド人じゃなかった。
インド人かもしれなかっただろ?
インド人を愛するためにインドに行く。
あの野郎、クソッタレ、と思いながら牛の糞を踏む。
でも俺があいつだったかもしれんしな。
俺がインドでサギしなきゃ生きていけないところに生まれなかっただけでな。
俺の旅は、味わって、愛することだから
高級なホテルや快適な移動はいらない。
今は日本を旅してる。
愛するためにだ。
マクドナルド、じゅうぶん美味しいよ。
もっと美味いものがどれだけあっても。
俺は幸せだ。幸せを感じることができるからだ。
大丈夫。俺は生きてる。